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24 November

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03 July

七月三日

○さあ、ついに公演月に来た。そして、四月から繰り返し三日に更新しているこのブログも最終回である。今回は何にもおかしなことは書かないぞ。ただ丹念に今回の見所について語っていく。何にもおかしなことはないぞ。
○前にも書いたが、本公演「怪問畸答ー何ンデモ無ヒー」は、夢野久作『少女地獄』を原作とする作品だ。その中の、「何んでも無い」という短編を用いている。何もおかしなことはないぞ。そして、この「何んでも無い」は限りなく映像作品の少ない物語だ。その理由は、これを戯曲化しようとした時にすぐに分かった。全編が臼杵利平という人物が書いた手紙だからだ。手紙は主観しか語らない。私たちはこれを演劇にするため、客観性を与え、原作では語られない扉を開く必要があった。そして、私たちはそれに成功した。本公演を目撃するあなたは、私事。解釈を楽しむ余地が十分に用意されている。何もおかしなことはないぞ。
○本公演のテーマは「嘘」である。この物語は嘘にまみれている。本間広子演ずる姫草ユリ子は嘘の天才である。そして、書簡体である原作は多くの事実を隠すのに適している。私たちも、あなたに対して嘘を吐いている。何もおかしなことはないぞ。しかし、その嘘を見抜けるだけの手掛かりを舞台のいたるところに張り巡らせた。まず、カレンダーに注目してほしい。このブログの毎月三日更新である企画を始めとして、私たちはあなたに日付が持つ意味の大きさを印象つける試みをしてきた。何もおかしなことはないぞ。そして、それは幕が上がってからも続く。何もおかしなことはないぞ。あなたが客席に座れば、すぐにその存在に気付くだろう。それが持つ意味を是非とも考えてみて欲しい。何もおかしなことはないぞ。それが達成されれば、この物語に内在する狂気に気付けるかもしれないからだ。
○私事。の役者のファンであるあなたへ語ろう。本公演は必見だ。近年、様々な処で客演をし、多くの方から愛されるヤギヌマが、主人公である臼杵利平を演ずる。しかし、彼は今狂気に満ちている。どうか彼を救い出してほしい。そして、嘘と狂気を体現する姫草ユリ子を、本間さんが演ずる。私事。で男性役を演ずることの多い本間さんだが、ついに女性を演じる。これまでのアンケートに「是非観たい」という声が多かったのもあり、彼女の女優姿を堪能できる人物を用意した。それが姫草ユリ子だ。この他、臼杵に事の発端を持ち込む曼陀羅と好奇心に溢れる臼杵の妻の松子を山田が、ユリ子の正体を知る看護婦をハルちゃんが演じる。そして、あなたがこの物語の真相に近づくために欠かせない白鷹秀麿をヒロくんが担う。
○私たちはいたって正常である。何もおかしなことはないぞ。何もおかしなことはない。三週間後、えんとつシアターで会いましょう。何も、おかしなことは、ない。ナニモ、オカシクナイ。ナンニモ。

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03 June

六月三日

○気が付いたらもう六月三日ではないか。イヤア、こいつはしまったぞ。当然ながら毎月三日しばりの記事を書くはずなのだが、何の準備もない。そもそも前回、車を手放した思い出の出会い編を書き、続きはまた今度といったがそれすらも書いてはないではないか。全く怪しからん。実は普段のブログはそれなりの時間をかけて推敲を重ねているが、これは即興で書いている。恐ろしい。
○便りがないのは元気な知らせだというが、ブログの更新がないのは一体どうなのだろう。お陰さまで稽古は順調である。稽古が順調すぎて、仕事中も芝居のことで頭がいっぱいになり、今週は色々やらかしている。というか先月から結構やらかしている。あと二カ月弱の間に取り返しのつかないヤラカシをしなければいいのだけれど、不安でしかたがない。私のヤラカシについて、ピンと来ない方が多いと思うが、とある真冬の公演最終日のいざ解散というときに、車のバッテリーを上げる男である。その節は本当にすみませんでした。その他、自転車を買った一週間後に、そのカギを失くす騒動を起こしている。ちなみにこれは無事見つかった。どれも重々反省している。
○これではまるで本題がないので、少しは本公演の話もするぞ。ここ最近になって、演出の全容が見えてきた。音楽が決まり、照明や舞台のデザインが決まり、衣裳も集まってきている。イメージだったものがドンドン具体的になっていく。特に進捗のよい音響に触れるが、ベタ好きのスギタニと、独特の感性の持ち主の音響ノグチのミックスによって今まで以上に私事。らしく仕上がってきている。クライマックスの曲は私が選曲したが、ぜひ注目してほしい。登場人物は、ほぼ全て頭の中がハッピーなやつの集まりだが、あまりハッピーな話ではない。どちらかといえば心も体も限界状況にまで達するが、だからこそ生を感じられ、迷いを生む作品になる。劇団員からは本当に意地が悪いとなじられる演出スギタニの意地の悪さをどうぞご堪能あれ。アハハハハハハハハ。
○六月になって、予約の受付を開始した。たくさんのご来場を心より願っております。

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15 May

五月十四日

○公演関連の記事が続いて堅苦しくなってきた気もするから、ここで久しぶりに私事な話をしようか。私事になるが、四年ほど乗ってきた車をついに手放すことに決めた。実際に手放すのは月末か来月頭なので、まだしばらくは時間があるけれども、この車を運転する回数もあと僅かだろう。
○出会いは大学四年の初夏。元々は姉が大学に通うのに中古で買ったものだが、その姉が買い換えるというので譲り受けたものだ。中古の中古というわけだな。わはは、相当なベテラン選手だ。免許自体は大学一年の夏休みに地元で取ったきりのペーパーだったが、譲り受けるために帰省し、新潟まで運転してきた。杉谷の地元は福井県なので、まあ大体四百キロほどの距離がある。ペーパーがいきなり四百は不安だと父が助手席に乗って新潟まで来て、電車で帰っていった。他にも散々心配をかけといて言うのもどうかと思うが、心配性の父である。どうかしてるぜ。ちなみにこの時、六時間かかった。車内の音楽は相対性理論だったかな。ちょうど私の中でブームが来ていた時期だ。
○おおっと、出会いだけでそれなりの長さになってしまった。あまり長編にすると読む気も失せるだろうから、今回はこの辺で。続きはまた後日、お楽しみに。