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24 November

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18 November

十一月十八日

○明日からいよいよ仕込みに入る。今日はオフだ。まあ、何人かの劇団員は準備を進めていることだろう。私の車には衣裳類が乗っている。役者総勢九名――中には複数役の人もいるので役の数でいえば十役以上の衣裳。衣裳ケース二つでは収まりきらず袋がいくつか飛び出ている。なかなか壮観だ。
○昨日はえんとつシアターを借りての稽古だった。本番直前にして最終チェックだ。仕上がった役やテクニカルな部分の感触を時系列で確かめる。これまでの公演ではやってこなかったが、やはり本番の場所で稽古できるのはいいものだ。得るものが多い。稽古始めにコヤ付きの方に写真を撮ってもよいかと聞かれたので快諾したが、この方と話すのは初めてだったのでよく私が主宰だと分かったなあと驚いた。まあTwitterで顔を出してるしと納得したが、根がシャイなため思いの外動揺した。あとで改めて挨拶を交わしたが、また実年齢以上の印象を持たれたようだ。よく私とやぎぬまが比較されて、私が彼より年上だと思われるのだが、私の方が下である。一度、二十八歳の方に年上だと思われていたが、流石に三十代に思われるのは悲しいものがあるぞ。
○帰りははるちゃんと共にヒロくんに送ってもらった。偶然にも今回私事。初舞台の二人だ。せっかくなので、本番直前の心境を聞いてみた。はるちゃんは緊張しているようだ。舞台に立つのは小学生以来らしい。しかし、ここに来てコツを掴んだのか稽古の度にぐいぐい伸びてきている。流石最年少、ノビシロは大きい。一方、ヒロくんは自信を持ちはじめているようだ。先週は不安で仕方なかったようだが、今週になって自信が湧いてきているらしい。実に頼もしい言葉だ。二人とも自分の世界に閉じこもらず、相手の役者や観客との熱量のやり取りを楽しんでほしいものだ。
○予約が百名を超えた。本当にありがたい。今まで対外的には「来場が百を超えない弱小劇団ですから」と勝手に言っていたが、これを期に改めなければならない。ああ、何と言ったものか悩ましい。そんなことを考えながら今日も終わり。明日から仕込みよろしく。
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15 November

十一月十五日

○本番まで一週間を切った。火曜はえんとつシアターでの稽古があり、木曜から仕込み、土曜から本番である。実に楽しみだ。
○お陰さまで過去最高の予約を頂いている。メールで頂いている中にも「楽しみにしている」旨のコメントを添えてくれる方もいて、これが非常に嬉しい。私の友人のひとりは都合がつかず観に来れないのだが、その友人の友人で演劇に興味がある方がいたらしく、その方が観に来てくれるらしい。これも非常に嬉しい。というか、予約の仕方に関わらず、観に来てくれる全ての方が愛おしい。おっと、そこまで言うと逆に引かれてしまうか、これは失敬。
○「ハナシの種」は短編三編からなる。「りんご裁判」は五月のえんとつ王からの再演だが、私たちはその公演を踏まえてさらなる昇華を行った。より深めつつ、よりキャッチーに。初見はもちろん、えんとつ王で観てくれた方も十分に楽しめる内容になっている。シュールなコメディだ。
○「いぬさま、ねこさま」は意外性がある。他にも語るべき要素がある気がするが、ありすぎて何から伝えるべきか皆目見当がつかない。スラップスティックとまではいかないかもしれないが、ドタバタしたコメディだ。
○「レトログラード」はサスペンスめいたものがあり、"terror"な要素もある。私事。の芝居のなかでも異質なものだろう。THE・私事。である本間さんと私事。最年少である岩瀬さんの絡みも必見だ。
○簡単ではあるが、それぞれの見所について語ってみた。もしまだ観劇を悩んでいるのなら、その背中を押せればと思う。
14 October

十月十三日

○これは私事。の架空の新人である、ヒロくんを紹介するものである。決してみなが知っているヒロくんではないことを忘れてはならない。
○彼は愚直である。稽古の度に必死に悩み、課題を見つけ、挑戦し、修正する。まさにトライ&エラー、PCDAを体現するかのような人だ。そんな事業を円滑に進めるための手法のような人、ヒロくんは実在しない。実際は稽古外で悩み、演技中はわりとなにも考えていない。ノリで動く。
○稽古の帰りに彼の車に乗せてもらい、家まで送ってもらった。最近back numberがよくかかっている。今の若者はback numberを聞くらしい。私は流行りに疎い。……と、そのような話をしたいのではない。私は彼に何故私事。に入ったのかを聞いた。彼は笑いながら「これでも一年間くらい吟味したんですよ」と答える。いやに、慎重だ。何をそんなに吟味することがあるのだ。「劇団のHPとかブログとか見て、雰囲気とか代表の人の文章とか面白かったので」と言われても、彼の所属するフットサルチームで彼が書いているブログの記事のタイトルの方が面白いと私は思う。「水をください 〜A Glass of Water〜」と「四六時中君に夢中そんな夢の途中」はなかなかの傑作である。
○そんな話をしながら、私の家に着いた。しかし、彼はおもむろに「僕はちゃんとやれていますか?」と聞いてきた。なるほど、「人を笑わせたい」と意気込んできた彼も、初舞台を一ヶ月前にして不安になるのは当然だ。しかし、なかなか難しい質問だ。私たちはそのまま車内で話し続ける。私は彼に思っていることを素直に伝える。彼は愚直である。私の言葉に真剣に耳を傾け、必死に飲み込もうとする。私はいろいろな話をした。それを彼がどのように受け取ったかは分からない。残り一ヶ月、楽しみは尽きない。
○私はプレッシャーをかけるのが大好きである。これを彼が読んで、さらにプレッシャーがかかるだろうが、私は面白がっている。私は意地悪だ。